こんにちは!ラーメンインタビュアーの岡崎美玖です。
今回ご紹介するのは、東京・青梅に佇む日本一のDNAを継ぐ今年一話題のラーメン店。
一体何が日本一なの…?ということですが、業界最高権威である「TRYラーメン大賞」を4連覇し、殿堂入りを果たした湯河原『飯田商店』の飯田将太氏の一番弟子、渡邊大介氏の独立店ということで、オープン情報が入るやいなやラーメンファンが大注目の新店なのです。
朝7時から1時間毎に「FeeLFastpass(整理券)」を配布しており、到着した人順に食べる時間を選択できるため、早朝から並ぶ人も続出。
15時頃には完売御礼なことが多い、整理券必至の超人気店なのです。
早速ご紹介していきましょう!
青梅線日向和田駅から徒歩10分ほどのところにある『Ramen FeeL』
青梅線「日向和田駅」から徒歩10分ほどのところにある『Ramen FeeL』。
お店がある青梅市梅郷は、春になるととても梅が綺麗に見える場所なのだそう。
全体のメニューはこんな感じ。
今回は「わんたん入り醤油らぁ麺(¥1,350)」を頂きます!
春菊×鴨の組み合わせが絶品!「わんたん入り醤油らぁ麺」
いざ、着丼です。
麺の上には、3種のチャーシュー、メンマ、三つ葉、ワンタン、春菊がトッピングされています。
まずはスープを一口。
秋田県産比内地鶏、鹿児島産さつま鶏(黒王)、山水地鶏、埼玉県産タマシャモ、そして西崎ファームのかすみ鴨をベースに作られているというスープ
醤油は13種類使用しており、まろやかな甘みが際立ちます。
スッと染み渡る優しい味わいながらも奥深い醤油の旨味が染み渡ります。
お次は、麺。
つるりとした中細ストレート麺は、口の中ですっとなくなりすぐ恋しくなってしまうほど…めちゃめちゃ美味しい。ずっと口の中に入れていたい。
毎朝自家製麺を打たれているそうなのですが、何時ごろから仕込み始めるのか店主の渡邊さんに聞くと、「朝大体5時半ごろからミキサーに粉を入れ始めて、9時に終わればいい方です。朝のうちに4種類の麺を打つので、たまに10時くらいになって粉まみれになりながら表に出ることもありますね(笑)」と。
ちなみにこちらの木箱は、なんと渡邊店主の奥様のお義父さん作だそうで、「冷蔵庫に合う幅と、麺の熟成のために熱くなり過ぎないことも考えた玉数が入る様になっていて、高さはあるのですが少し幅が狭いんです」と話す渡邊さん。
テーブルやカウンターなどほぼほぼ全てお義父さん作だとお聞きし、驚きです…!
渡邊さんに醤油らぁ麺のおすすめの食べ方を聞いてみると、
「丼の目の前に多めの鶏油があるので、まずそこでどっぷり醤油と鶏油を味わって頂いて、麺そのあとに食べてもらって、チャーシュー類は上から食べるのがおすすめです。
春菊と鴨肉は相性がいいので是非一緒にパクっと食べていただくと、どんどん旨味がブワ~ッと出てくるかと思います。その口のままスープを飲むとまた更に美味しいです。鴨肉はあまり火が入って欲しくないので、出来れば早めに食べて頂くのがおすすめです」とのこと。
実際にこの食べ方で食べると、鴨の旨味と春菊のほろ苦さのバランスが絶妙過ぎる…!!鴨、美味しすぎて岡崎飛ぶ寸前です。
短冊切りのメンマの歯ごたえもアクセントになり、トッピング一つ一つがキラキラしていてワクワクしてしまう一杯。
ごちそうさまでした!
【独占①】店内ほぼDIYの理由は「どこを見ても人の顔が浮かぶ店内にしたいと思ったから」
こちらが『Ramen FeeL』店主の渡邊さん。『飯田商店』修業前は、全く違う分野で活動されていたそうで…?親方と敬称する飯田店主との出会いや『Ramen FeeL』の原点など、根堀り葉堀り聞いてきました。
ーーご出身は埼玉県入間市、とのことですが青梅にお店を建てたのには何か理由があるのでしょうか?日向和田駅、初めて来ました。
「一番の理由は、飯田商店に来るお客様がラーメンだけじゃなくて温泉に行ったり熱海に行ったり、観光の一環で来て頂くことが多かったんです。もちろんラーメン目当てに来て下さる方も多かったのですが、それで終わらせないというか。
なので男性はラーメンを食べたいけれど女性はそこまで…っていう人でも、誘いに行きやすい場所にしたかったんですよね。
奥に行けば奥多摩もありますし、青梅も自然が豊かで、東京で忙しく仕事をされている方とかが自然で心も癒されるかな、という思いがありました。
(最寄りの「日向和田駅」から『RamenFeeL』さんに向かう途中の橋から見た光景。確かに自然盛り沢山である。マイナスイオン万歳!)
あとは僕が山が好きで(笑)。自然に囲まれているところで心を落ち着かせてラーメンを作りたいし食べて頂きたくてこの場所にしました。」
ーーなるほど。そんな経緯が…!ウッディな店内も落ちつく雰囲気でオシャレです。
「店内はほぼDIYです。単純に費用がないのもあったんですけど、どこを見ても人の顔が浮かぶ店内で「あの時こうだったな、こうしたな」とか思い返せるのがいいなと思ったんですよね。
壁の塗装なんかは飯田商店の弟子と親方 みんなで塗ってもらって、天井は飯田商店の常連さんが首を痛くしながら塗ってくださいました(笑)」
多くの方の協力頂き、塗装作業が終了しました!!!
本当にありがとうございました。
今週中には工事が完了します!!!#ramenfeel pic.twitter.com/lp3dFJlwb4— Ramen FeeL (@RamenFeeL) February 10, 2021
――素敵なエピソード…!そもそも『飯田商店』で修業するきっかけは何だったのでしょうか?
「東京のラーメン屋さんで働かせて頂いているときに、飯田商店さんが大つけ麺博に出店された時があって。
1回目が塩らぁ麺を出されていたのですが(『飯田商店』は2015年、2018年と過去2度出店)、東京初出店だったこともあり想像以上の並びに圧倒されました。
そしたらちょうど人手不足でお手伝いを募っていて。僕はもともと何の繋がりもなかったんですけど、メールで応募したら電話がかかってきて採用されました。
「お手伝いの人間なのですが、明日何時に行けばいいでしょうか」と言ったら、「一応朝5時から人はいるけど」と言われて、
「お手伝いの人にこんなこと言うんだ」と当時は思いましたね(笑)
(そりゃあ確かに凄いや…)
実際には8時くらいに行って、「おー!飯田さんだー!」と興奮しながら入っていきました。周りを見たらお手伝いが沢山来ていたのですが、皆繋がりのあるラーメン店主さんのスタッフさんだったりしたので、僕だけどこから?みたいな感じでした(笑)
本当にあの環境にいさせていただけるだけ嬉しかったのですが、これをきっかけに仕事を振っていただけるようになって。黙って仕事をしていたのですが、忙しい場面でもそういうところを見てくれている人なので。
でも一緒に仕事をしているのを見たら一切妥協のない人でしたね。
ーーどんなところに飯田さんのこだわりがあったのでしょうか?
「塩らぁ麺には三つ葉とネギがラーメンに入っていたんですけど、ネギは全部1000食分手切り、三つ葉も1つ1つ手でちぎって準備していたのがとても印象的で。
量が多いからと包丁でざくざくと切って準備をしたりしていなかったんですよね。「あ、この人たちちょっとやばいな」って思いました(笑)
(「本気度が違うんですよ」と力説する渡邊店主)
そのあと1か月くらい経ち、これから修行するなら『飯田商店』だと思って志願しに行きました。
【独占➁】「俺一人満足させられないでお客様を満足させられるか」ハッとさせられた師匠の言葉
ーー修業時代はどんなスケジュールで過ごされていたのですか?
「朝7時くらいには絶対来ていて、僕が入りたての頃には親方がほぼ全て仕込みをしていました。
僕たちが出勤した時には”整える程度”だったので、今考えると「全然仕事をしていなかったな」と…
仕事を与えるまでの重みを結構大事にされる方なので、新しい仕事を覚える度に「お、ここまできた」みたいな感じはありましたね。
飯田商店が改装をしたタイミングで、いろいろ一人当たりの仕事も与えていただいて、調理とかも勉強させてもらいました。」
ーー飯田さんとの中で今までで一番印象に残っているエピソードは?
「うーん、いっぱいあり過ぎて数えきれないんですけど・・・・・・・
(リアルに20秒ほど悩む渡邊店主)
…結構僕は(1つ1つの仕事に対して)疑問に思ったりしちゃうタイプで、全部「はい!」と受け入れてやってこれなかったんですよね。実は。
それで僕が親方に対してあまりよくないような態度を取ったこともあって、「分からないです!」と言った時もあったんです。僕が親方の仕事を流動的にさせてあげられていなかった事が原因なのですが、求めるレベルの要求が凄く高いんですよね。僕からしたら「無理ですよ!」というレベルだったんだと思います。
でもその時親方に、
「俺1人満足させられないで、お前がお客さんを入れたときにどうやって満足させられるんだよ」
と言われて。何十人ってカウンターに来た時に全員に気を配れないとやっていけないので、1人くらい満足にさせろよ!と仰っていただいたときに、ズコーンと来ました。
敢えてやらずにやらせる部分も多くあったんですよね。「そこはやってくださいよ!」とか当時は思っていたんですけど、そこで出す力量を引き出して頂いていたんだなと、本当に思いますね。」
ーーそんな飯田さんがいざ独立を決心された渡邊さんにかけた言葉はなんと…?
「実は、僕からこの先どうなるんですか?ということを聞いたんですよね。ちょうど飯田商店がターニングポイントで、10周年になるタイミングだったり、ららぽーと沼津店が開いたりだとか、どんどん会社的に大きくなっていくタイミングで、この後どうなっていくのだろう、というのが正直あって。
ちょっと生意気ですけど、「どうしていくおつもりですか?」と聞いたんですよね。僕がついに言ったのが親方も嬉しかったみたいで、「じゃあ、(独立)いつにする?」と返ってきて。
そこからは今まで敢えて教えてこなかった重要な事とかも教えて下さって、結構最後にブワっと詰めた感じですね。」
ーー卒業されてから開業するまでの一年間は何をして過ごしていたのですか?
「青梅市に有名な担々麺の専門店があって、そこでアルバイトをしていたのと、ラーメン以外の料理の勉強もしたいなと思ったので、夜はイタリアンレストランで働いていました。
あとは東京駅の「NIPPON RAMEN 凛 RIN TOKYO」(札幌の人気店「Japanese Ramen Noodle Lab Q」がプロデュース)でお手伝いをさせて頂いたり、新横浜ラーメン博物館の「來々軒」などでも働かせて頂き、沢山勉強させて頂きました。」
【独占③】ドラム片手に渡米を決意。音楽の道を志した過去
ーー今や期待の超新星として名を馳せている渡邊さんですが、元々海外に留学されて音楽もやられていたとお伺いしたのですが…!
「はい。高校3年間はとにかくドラム漬けの日々でした。
マーチングバンドをやっていたのですが、”どこかに所属をする”という環境がなかったのと出来なかったこともあり、「じゃあもう自分でやるしかない」ととにかく練習をしていました。
理由としては、僕アメリカが好きでアメリカに行ける手段ならなんでもいいやと思っていたんですよ(笑)
バスケやNBAが好きで、ドラムだったら行けるんじゃないかと思ってね。周りが大学受験のタイミングでアメリカに行ってオーディションなどを受け、下積みチームに入らせて頂いて約3年間ほどアメリカに住んでいました。
ーー音楽の道で行こう、という思いはなかったのですか?
「思っていました。でも、周りに本当に凄い人たちが沢山いて、ドラムでは結果を残せないなと思ったんですよね。
それに、アメリカで一番恋しかったものが”ラーメン”だったんです。住んでいたのが田舎だったので周りに全然ラーメン屋さんが無くて。
自分でペペロンチーノに大量にニンニクとキャベツと醤油をかけて、ちょっと二郎っぽいパスタをYouTubeに上がっていた二郎の動画を見ながら食べていました(笑)
アメリカでの生活は凄く好きで、ずっと住んでいたいと思っていたんですけど、唯一何か欠けているとしたら「ラーメン」だなと思ったんですよね。
一度好きだったラーメンをアルバイトからでもいいからやってみよう、と思って始めたら…ハマっちゃった感じですね(笑)」
ーー様々なこだわりと思いをお伺いしてきましたが、丼にもかなり強いこだわりがあるそうで…?
「開業前にどんな丼にしようかと迷っていて、有田焼は使いたいと思っていたのですが、より古い伝統的なものを使いたいと『古伊万里焼き 鉢』と調べていたら、今多くのラーメン屋さんが使っている「エヌアールフード」の佐野実さんがデザインしたものとそっくりな丼があったんですよ。
江戸時代のものだったのですが、形も一緒だし、伝統を感じるデザインだったので「これにしたい」と思い、親方に速攻写真を送って思いを伝えたら、「買っといた」って下さったんです。今でもお店に飾ってあります。
(入口横の小窓に飾られているこちらの丼。是非探してみてくださいね)
これを基にデザインをするのですが、”醤油”を表現した丼がいいなと思ったので、醤油の原料である小麦・大豆をワンセットで。2つで1つをテーマに丼をデザインしました。
松の木も2つで1つなのと、妻の旧姓も「松」が入っているんですよ。一人娘なので苗字が残らなくなってしまうので「松」を入れました。
あとは飯田商店の家紋と、裏側には海・山・川があるのですが、そこに実は僕がアメリカでお世話になったチームの頭文字が隠れていて。
(良く見ないとわからない…)
そのチームでやっていた精神も僕の中で凄く大事にしているので、その2つが今の僕を作ってくれているという想いを込めています。」
ーー今年の2月にオープンして半年ちょっと経ちましたが、今後の展望について教えて下さい。
「”挑戦”という部分に関してはこの半年で醤油、塩、つけ麺も麺2種とやってきたんですけど、いま一つ研ぎ澄まされていないと思っているので、今はまず(自分のラーメンを)研ぎ澄ましていきたいですね。
その中で例えば、仕事が増えることはあると思うんです。そういった細かい挑戦をしていきたいです。」
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