独占インタビュー

「引き出しの多い所で修業したことで素材の味が分かるようになった」名店『中華そば しば田』の誕生秘話

【独占1】まさにゴールデンイヤー!同じオープン年にはあの名店も…!?

音楽業界からラーメン業界に転身し、2013年に『中華そば しば田』をオープンした柴田店主。
2019年には自家製麺も始められていて、日々自分の追い求める一杯に愚直に取り込む姿にますます目が離せない柴田店主に、独占インタビュー!

ーーしば田さんといえば、オープン同年に三ノ輪の『ラーメン屋 トイ・ボックス』さん(以前本ブログでも取材させて頂きました)などがありますよね。

「そうですね。あとは『らぁ麺すぎ本』さんとか、『くじら食堂』さん、『中華そば 四つ葉』さんもそうです」

都内最高峰の醤油ラーメン。雑味なく澄み渡る醤油のキレにやられた日 こんにちは!女子大生ラーメンライターの岡崎美玖です。 今回ご紹介するのは、鶏と水だけで炊いた上品で繊細な至極の醤油ラーメン。 ...

ーー今のラーメン業界を牽引されている名店ばかり…!改めてこうやって聞くと、しば田さんのオープン年はゴールデンイヤーですね

「まあ結構志が近いというか、大まかなカテゴリ分けすると方向性も近くて。

歳も僕が一番下なんですけど、”workshop”というグループの一員として活動しています」

”workshop”とは?

ー以下10店舗からなる、TRY常連店の有名店主たちによるコラボチーム。ラーメン作りにおける情報交換も行っているのだそう!

ラーメン屋 トイ・ボックス、くじら食堂、中華そば しば田、中華そば 四つ葉、らぁ麺 すぎ本、麺屋 KABOちゃん(現在は休業中)、中華そば 一番いちばん、RAMEN GOTTSU、町田汁場 進化、Tombo

ーー他の店主さんとの関わりというか、それこそラーメン一緒に行ったりなどされますか?

「そうですね、たまに機会があれば!そんなに積極的に声をかけたりとかはなくて…お誘い頂くという形で。

例えば『Ramen FeeL』さんは、整理券をとってくれるという方がいたので、便乗というか”僕の分もとってください!”という形でいきました(笑)

(『Ramen FeeL』店主の)渡邉くんは結構前からうちに来てくれてたんですよね」

「普段はなかなか、近場で美味しくて普段使いしてるとこばっかり行っちゃうので、コレクター気質ではなくてどちらかといったらリピーター気質ですね」

ーー営業時間も合わなかったり、行きたいけどいけないって店主さんすごく多いですよね。ちなみによく行かれるお店とかあるんですか?自分の中でのお気に入りのお店じゃないですけど。

「調布市が地元なのですが、一番行くのは国領の「熊王ラーメン」さんですかね。
物心ついた時から、ここのラーメンを並んで食べていました。

未だにやっぱり、身体にその味が染みついちゃってるから、家族で食べに行くこともあれば、夜中一人で食べに行ったりとかはしますね」

ーー元々多種多様なラーメンがある中で、いわゆる清湯系、中華そば中心のメニュー構成にしたのも、その思い出のその昔の味だったり、何かきっかけがあったりしたんですか?

「小さい頃から慣れ親しんできたラーメンが醤油の”清湯”が多くて。

各調味料をふんだんに使って、豚ガラ・鶏ガラと香味野菜などで作るようなラーメンが多かったので、自然とそういうものが作りたいなと思いましたね。

自分が好きだし、好きな人も多いかなって。調布だと特にそういうラーメン屋が多いのかもしれないです」

【独占2】デフォルトの3種類のメニューだけで勝負する理由

ーーオープンされるまでは、惜しまれつつ閉店された吉祥寺の『音麺酒家 楽々』さんなどで修業されていたかと思うんですけど、当時色々なラーメン屋さんがある中で、そこを選ばれた理由は何かあったんですか?

「『楽々』さんは、店主さんが毎日のように限定ラーメンを作っていて。

例えば、煮干しラーメンを作るにしても、今日は10種類入れましたとか、今日は何々だけを入れましたとか。
あとは、異なるテイストの料理の要素を入れたラーメンも作っていて。

ただ、僕個人の”食べ手”としてはそういうの全然興味が無くて(笑)

ーーそうなのですか!?でも確かにしば田さんといえばデフォルトの「中華そば」のイメージですね。色々な店主さんの話を聞いていると、元々自分が作りたいラーメンを学べる修業先を選ばれている方が多いですが、なぜ別のタイプのお店へ…?

「『楽々』さんで働く前からも、今のようなシンプルな構成のラーメン屋をやりたいなっていうのがありました。

ただ、そこで同じ方向性のラーメン屋で働いて技術を習得すると、もうそれしか作れなくなっちゃうなと思ったんですよね。それで、あえて引き出しの多い店主さんので修業させてもらおうと思ったんです。

ラーメンに使う煮干し、鰹節でも色々な種類のものがあるじゃないですか。例えば、それで様々な産地や種類の使い分けができたらより美味しいものが作りやすくなるんじゃないかなと思って。
積極的に収集できない情報だったり身につけられない知識を、ここでなら嫌でも習得できるかなと(笑)
結果、凄く勉強になりました

ーー今、『楽々』さんで学んだ技術が活きてるなって思う瞬間ってあります?

「味を調整するときに、色んな素材の味がなんとなく分かるようになりました

お店のイメージ的にもできるだけシンプルなものを作りたいなと思っていて。そういうところで活きているなと感じますね」

ーー当時4年半くらい修行されてたと思うんですけど、どんなスケジュール感だったんですか?

「働いて2年目ぐらいから味づくりに関して学ばせてもらったり、デフォルトのメニューの味の管理をさせてもらいました。3年目、4年目くらいから店長を任せてもらったり、限定ラーメンも作ったりしましたね。

とても”任せてくれる方”だったので、自分の中でお店を将来やっていく上でイメージトレーニング以上に現場でお客さんのリアクション見たりできて良かったなと思っています。本当にありがたく、感謝しています」

ーー独立のきっかけは、修業先のお店が閉じるときにっていう感じですか?

「そうですね。2013年の夏か春くらいに泣く泣く閉店することが決まって。

本当はもう1店舗ぐらい修業して、あと1、2年くらいお金貯めてからと思ったんですけど…なんかそのままいきたいなと思って貯金をはたいて独立しました」

【独占3】音楽業界から一転、まさかの展開でラーメン業界に!

ーーラーメン業界に入る前は音楽をやられてたそうなんですが、どうしてそこからラーメン業界に飛び込んだのですか?

「当時、ライブハウスやクラブでPAの仕事をしていました。音響専門学校を卒業して、学んだ技術を活かして仕事したいなと思っていました。

お酒とかもクラブのバーで作りながら、レコードとか買うのも好きだったので、その趣味を極めて小さい規模でDJとかもやったりしていました」

ーDJもやられていたことあるんですね!寡黙なイメージがあるのでギャップに驚きです…!

「趣味を通じて今の奥さんと知り合って、ゆくゆくはこの人と一緒にいたいなと思って、同棲したいなとか、向こうの両親にもしっかり挨拶行かないとなとか思ったわけです。お互いに23歳くらいの時でした」

ーーなんと…!それでご挨拶に行かれたわけですね。

「いや……向こうのご両親が歳も結構上で、恐らく向こうの世代からしたらクラブも夜の商売みたいなイメージがあるんですよね。

”クラブで働いてるようなよく分からん、どこの馬の骨かも分かんないやつには挨拶もしたくない!”というように思われている話を今の奥さんから聞いて、参ったなーって(笑)。自分の中ではちゃんとしたお仕事のつもりだったのですが、カテゴリー的にあまり良くないイメージを持たれてしまって。

”自分の好きなことに触れて生きていきたい”はというのは変わらずあったので、ラーメンがすごく好きだったので、なんとなくクラブのバーでお客さんにお酒を出すという当時の仕事を振り返って、

これくらいの小さな規模でラーメンを突き詰めて出して、それで生活が出来たらすごく楽しそうだな

と思ったんです。

…あと、ラーメン屋だったら一応昼の仕事だし許してくれるかなって(笑)それで働き始めたら、作ることの楽しさも強く感じて、ゆくゆく独立してラーメンを作りたいなと思ったんですよね」

【独占4】トレードマークの”長い髭”に込められた秘密

ーーずっと聞きたかったことを教えてください。柴田さんってトレードマークがおひげなのですが、昔からなのでしょうか…?こだわりなんですか?

「いや別にこだわりなんかないですよ(笑)」

ーーいやいや、こだわりなくそこまで伸ばさないですよ!(笑)

「うーん、強いて言うなら、今は現場に立たれてないんですけど、先に言った地元の『熊王ラーメン』の創業者星野さんが、それこそ寡黙で、髭はもっと僕よりもボリューミーで…

幼いながらも『かっこいいな』と思って。厨房にいる日といない日があったのですが、星野さんが厨房にいるとすごく美味しく感じたんですよ。

星野さんが今日はいるといいなって思いながら食べに行っていました」

ーーそれで自分も伸ばそうと?

「そうですね。そのレベルに行きたいなって」

ーーそんなエピソードがあったんですね。そこに原点があると。

「はい。憧れてましたね」

ラーメンインタビュアー 岡崎美玖

著作権の関係で貼れませんが、『熊王ラーメン』創業者の星野さんのお髭、たしかに仙人のようでした。気になる方はぜひ調べてみてください!

【独占5】趣味は”レコード集め”。自宅にはレコードを聴くための部屋が…!?

ーーちなみに余暇の時間って何過ごされるんですか?趣味とかってありますか?

「そうですね、音楽だらだら聞いたり…プレイングはせず、専らリスニングだけですけどね」

ーーどんなジャンルが好きとかあるんですか?

「主にヒップホップやジャズやソウル、80年代や90年代のマイナーな、あまり流通されていないレコードをよく集めています。

頻繁にレコード屋も行けないので、オークションなども使います。若いときに中々手が出せなかったものが、値段も少し落ち着いてるのもあったりして。そういうものは未だに収集をして、お酒を飲みながら夜に聞いたりするのが好きですね」

ーーおっしゃれ….!素敵すぎます。もしかして、自分だけの空間みたいなのがあるんですか?

「上の階に作ってありますね(笑)コロナ禍もあったので1人でじっくりと楽しんでます。
最近はリビングで聴く方が多くて、上の階にも下の階にもレコードプレイヤーがあります(笑)」

ーー無類のレコード好きですね…!どれくらいレコードは持ってるんですか?

「それこそ、断捨離してきてるので、タイトにはなってます。自分の好きなものがどんどん凝縮されて、これは別に手放してもいいかなってものはどんどん無くなってお気に入りのものばかりです。

家で聴きたいものをあえて整理整頓せずに入れて、『あれ聴きたいな』ってなったときに、そこから探すのが面白い。レコード屋さんにいるような感覚になるんですよ(笑)それが幸せな時間ですね」

ラーメンインタビュアー 岡崎美玖

レコード好きの皆様、ぜひ『しば田』さんへ!

【独占6】ゆくゆくは移転も…?「気合を入れずに食べに来られる店にしたい」

ーー今はもうラーメン好きで知らない人はいないぐらい有名な『しば田』さんですが、今後やりたいとか挑戦したいこととかってしば田さんの中であったりするんですか?自家製麺も2年半前からやられ始めましたよね。

「”作りたいものを作る”という楽しさは今凄く充実していますね。ただお店が狭いじゃないですか」

ーー確かに、結構コンパクトですよね。(しば田さんはカウンター席のみ)

「コロナの関係もあって、もうちょっとテーブル席とかで、地元の人たちが家族とか4、5人で普通に来れるような店だったり、厨房が広いとこでやりたいなという気持ちは、少し前からありますね」

ーーなるほど。ゆくゆくは移転などもイメージとしてあるのですか?

「そうですね、箱をちょっと変えたいなという気持ちは凄くありますね。この今の駅から離れたロケーションは全然不満ないんですけど、もうちょっと働きやすくて、お客さんも利用しやすい店にしたいです。

そんな大箱にするつもりは無いのですが、今はやはり並ぶときが多いので、そんなに気合を入れずにサクッと食べに来られるようなお店にしたいなというのはありますね」

ーーー

最後までお読み頂きありがとうございます。

筆者のSNSも(ほぼ)毎日更新中です。是非是非チェックしてみてください✔︎

Twitterはこちら (ラーメンを主体とする日常を綴っています)

Instagramはこちら(麺スタグラムです)

1 2