独占インタビュー

数々のラーメンコンテストを総ナメにした”らぁ麺やまぐち”。原点となったご当地ラーメン知ってますか?

こんにちは!ラーメンインタビュアー岡崎美玖です。

今回ご紹介するのは、鶏と素材の調和がとれた、圧倒的美味しさの澄み渡る醤油ラーメン。

ラーメンの中でも特に清湯系(澄んだスープ)が好きな筆者ですが、その中でも上品な鶏の旨味と醤油ダレのバランスに驚かされた一杯です。

そんな逸杯が創り上げられた背景とは…!?早速ご紹介していきましょう!

TRY新人大賞をはじめとした数多くの賞を獲得!「らぁ麺やまぐち」へ

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東京メトロ副都心線「西早稲田」駅(2番出口)より、徒歩6分ほどのところにある、「らぁ麺やまぐち」

東京ラーメン・オブ・ザ・イヤー2013で「TRY新人大賞」を獲得し、その後は「ミシュランガイド東京」ビブグルマンにも選出。

食べログ「ラーメン百名店TOKYO」にも2017、2018、2019と3年連続で選ばれるなど、数多くの賞を獲得してきた実力店です。

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全体のメニューはこんな感じ。

今回は「鶏そば(950円)」をいただきます!

全ての素材のバランスが完璧に体現された「鶏そば」

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いざ、着丼です。

着丼の瞬間、フワ〜〜ッとした鶏の香りに包み込まれます…!!

麺の上には、チャーシュー、メンマ、かいわれ大根がトッピングされています。

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まずはスープを一口。

…鶏の旨味が凄い〜〜〜〜〜〜!なのにしつこくない旨味に感動です。

3年熟成の生醤油を使用したという醤油ダレの旨味と鶏の旨味が口の中でくるくると踊り始めます。まるで旨味のワルツ…!!

醤油と鶏のバランスが綺麗で、並行した主張に驚き。うん、バランスが完璧すぎる…!!

鶏は店主の地元である会津地鶏の丸鶏をはじめとする厳選素材を使用。なんとスープに使われている素材は90%以上が鶏なのだとか!

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麺は、京都の老舗製麺所・麺屋棣鄂(ていがく)と共同開発した特注麺を使用。

中細ストレート麺で啜り心地もよく、程よい固さが極上スープにマッチ。旨味を美しく引き立たせてくれます。

東京にも幾多の製麺所が存在する中で、京都からわざわざ取り寄せているのにはある理由がありました(詳しくは後半の独占インタビューで明らかに!)。

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チャーシューは完全に火を通さない低温調理。2段階の調理法で作られ、しっとりと柔らかく、こちらも豚の旨味がギュッと凝縮されていて非常に美味です。

ごちそうさまでした!

【独占①】コンテスト優勝を機に脱サラしてラーメン業界へ

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福島県会津若松市出身で、地元で飲食とは全く無関係の業界でサラリーマンをしていたという店主の山口裕史さん。

都内屈指のラーメン激戦区である高田馬場の人気ラーメン店といえば、間違いなく名前が挙がる「らぁ麺やまぐち」。名店にまで駆け上がっていった歴史や誕生背景に密着しました。

ーーなぜサラリーマンからラーメン職人の道に進もうと思ったのですか?

「元々料理が趣味で、ラーメン作りにのめり込んでいったのがきっかけでした。日本蕎麦やカレー・イタリアンはなんとなく専門書で味作りができたのですが、当時ラーメンの専門書は少なかったんです。

サラリーマン時代に数少ない資料をもとに試行錯誤の上ラーメン作りをしていたのですが、全然美味しくなくて。逆にもうそれが悔しくて燃えましたね。ですが最初はラーメンを生業にしようとは考えていませんでしたね。

ーーそうだったのですか!では何がきっかけで本格的にラーメン業界へ足を踏み入れたのですか?

「2000年前後にホームページを作り始めたことが一つのきっかけでしょうか。ラーメン作りにハマり、食べ歩きもしていたサラリーマン時代、ラーメンの情報交換を行える地元のラーメンフォーラムに参加したりもすることで、更にのめり込んでいました。

そこで自分も何か情報を発信したいと思い始め、パソコンを買ったのですが、どうしても後発になって埋もれてしまうなと。

「他の人がやっていないことは何だろう」と考えた時、自作ラーメンのレシピをあげようと考えたんです。自分でホームページを作成し、発信をはじめて3〜4年ぐらいしたあたりから徐々に自分がラーメンを作る人間だということで周囲から認識され始めました。

そして、立川にある「ラーメンスクエア」にてラーメントライアウトという新人発掘コンテストがあり、「参加してみませんか?」と関係者の方からオファーを頂いたんです。

ラーメンスクエア「ラーメントライアウト」とは?​
−東京・立川市にある大型商業施設「アレアレア」に、2005年に誕生した「ラーメンスクエア」内にて、ラーメン界の重鎮、大崎裕史氏の全面協力のもと開催されるラーメンコンテスト。
優勝者には既存店と入れ替えでラーメンスクエアへの出店が確約され、開業祝い金(出店準備資金)として現金100万円が贈呈される。(2020年1月現在)

実は当時は腕試しの好奇心で参加したのですが、未経験者部門で優勝することができ、これを機に2007年に業界に足を踏み入れました。

ーーそんな背景が…!!コンテスト優勝当時は現在のラーメンとはベースは違ったのですか?

「全然違いましたね。どちらかといえば煮干しが良く効いたような魚介豚骨系のラーメンと、地元の喜多方ラーメンをアレンジした2種類のラーメンを提供していました。」

ーーその後、自分のお店を持つまでには何かされていたのでしょうか。

「まず1年間立川ラーメンスクエアで出店し、その後知人のラーメン店の立ち上げを手伝っていました。そして2013年1月に「らぁ麺やまぐち」をオープンし、現在に至ります。」

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【独占②】こだわりの”鶏そば”のルーツは地元・福島の「白河ラーメン」

ーー自身の味を確立し、数多くの賞を獲得してきた「鶏そば」をはじめとした山口さんの作るラーメンのルーツはどこにあるのでしょうか?

「僕の地元には鶏ガラを主体とした「白河ラーメン」・煮干しや豚骨を主体とした「喜多方ラーメン」があり、中でも白河ラーメンが好きでよく食べていました。

メインの鶏そばは、地元・福島のご当地ラーメンである白河ラーメンが原点です。白河ラーメンを今風の醤油ラーメンにしたものなんです。

例えば、白河ラーメンの焼豚は炭火で炙ることが多いのですが、当店ではオーブンで焼くことによって付けています。その時に出る香ばしさはしっかりとタレに移し、スープが完成しています。」

ーーなるほど…!それでスープに使用している鶏も地元・会津地鶏をメインに使われているのですね。一つ素材の点で気になったのですが、麺はわざわざ京都の製麺所さんから取り寄せているんですね。

「そうなんです。立ち上げを手伝っていた知人の店では自家製麺を扱っていたのですが、その頃の麺のレシピをブラッシュアップしたものをどうしても使いたくて、何社も掛け合いました。

ですが、受け付けるのは「400玉〜」「50kg〜」などと条件があり断られてしまうことが多くて…。

そんな中、今お願いしている京都の麺屋棣鄂さんにダメ元でお願いしたら、すんなりと了承してくださって。特注でお願いしています。」

【独占③】「ラーメンは800円でも高いと言われる世界なのが悲しい」

ーー2015年に2店舗目である「らぁ麺やまぐち 辣式」を東陽町にオープンされましたね。なぜ新店では「麻婆混ぜそば」にチャレンジしようとしたのですか…!?

「僕自身辛いものが大好きなんですよ。

でもその一方で、四川麻婆麺がずっと嫌いで(笑)なんとなく麺と餡の一体感がないというか…一体感のある麻婆麺を作りたいと思い、試作を始めたのがはじまりです。

本店でも限定メニューとして提供したところ、とても好評で。ですがどうしてもメインの鶏そばが繊細な味のため、味移りが気になり物件探しを始め、丁度いいタイミングで物件が見つかり「麻婆まぜそば」をメインメニューとしたセカンドブランドをオープンしました。」

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こちらが「麻婆まぜそば(950円)」。

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麻辣式というジャンルで、辣油や花山椒がガツンと鼻を突き抜けます。むっちり太麺が刺激的な餡とよく絡み、カラシビ好きにはたまらない一杯。

ーー今後はどのようなチャレンジをしていきたいと考えていますか?

「職人としての自分も大事にしながらも、クリエイティブなアイディアは沢山出てきています。
自分だけでは実現出来ない部分もある為、プロデュースという形で色々なラーメンを発信していければと考えています。

また、ラーメンは800円でも高いと言われる世界で、労力に見合っていないのが悲しいなと感じていて…。

1,000円の壁と言われ、過去何度も先人が挫折してきており、ラーメンの発展にブレーキがかかっていました。ですが、ここ数年でラーメン業界がミシュランで星を獲るなどこれまでの認識も少し変化して来ているように思います。

新たな分野や、高級店とリーズナブルなお店の棲み分け、日本蕎麦や寿司のような方向性も出てくると嬉しいですね。

そこに携わることが出来れば何よりです!」

取材後記

数多くのラーメンの中でも、近年は「鶏清湯系」を謳う店舗も多く存在しますが、食べれば食べるほど正統派な一杯だなと感じます。そのルーツが福島県のご当地ラーメン・白河ラーメンにあったとは、実は筆者も知りませんでした…!

とことん研究熱心な山口店主の作り上げる究極な逸杯。是非ご賞味あれ。

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